皆さん、こんにちは!ヒゲ博士じゃ。健康を守るには、体の中で細菌などを退治する「マクロファージ」の食べる力(貪食能)を維持することがとても大事じゃ。そのマクロファージが細菌を食べるときに、ヒダヒダのような偽足(ぎそく)を伸ばしている写真や映像を見たことがある人も多いじゃろう。実はこの偽足はマクロファージの食べる力を強めるカギなんじゃ。最近の研究で、この偽足を伸ばす仕組みにLPSが関わっていることが報告されたので、今日はその研究を紹介しようかのう*1。
マクロファージは球状・紡錘型から偽足型へと変化するにつれて、細菌を取り込む効率が高まるんじゃ。研究によると、LPSがマクロファージの受容体TLR-4を通じて細胞の核に信号を送り、NFκBというスイッチを介して偽足を伸ばす信号になるタンパク質を作っていることが分かった。こうして偽足が伸びることで、マクロファージはより積極的に細菌を貪食するようになるのじゃ。興味深いことに、この反応はLPSで起こるが、グラム陽性菌の「リポタイコ酸」では起こらんそうじゃ。LPSはマクロファージの偽足をぐんと伸ばして、細菌を効率よく退治できるようにしてくれる優れものじゃな。
これを応用すれば、例えばLPS入りのクリームを傷口に塗ることで、細菌感染を防ぎつつ創傷治癒も促進できるのじゃ。感染予防と傷の治りを同時に助ける―これはなかなか頼もしい働きじゃろう。
*1: Macrophages form dendrite-like pseudopods to enhance bacterial ingestion. EMBO J (2025) 44: 4772–4802.
出典:特定非営利活動法人自然免疫ネットワーク発行ニュースレター