NPO法人自然免疫ネットワーク

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ひげ博士のおはなし

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ひげ博士のおはなし
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第14回 火傷の話

(2011年3月 No.14より)

皆さん。ひげ博士じゃ。今日もグラム陰性菌の糖脂質(リポ多糖:LPS)が病原菌を防ぐ働きを紹介しよう*1。重症のやけを負うと、感染症になり、それで亡なることが一番多いが、それを、糖脂質が防いでくれるかもしれないのじゃ。

やけどになると、皮膚のバリヤーがやられて細菌侵入の危機にさらされるが、実は皮膚だけではない。やけどのような強いストレスが加わると腸からの細菌の侵入が80倍も増えるのじゃ。だから、抗生物質を飲んで感染症を予防するのじゃが、抗生物質を飲むと腸内共生細菌も当然やられてしまい、なんと、腸から侵入する細菌数がほとんど減らない。それどころか、抗生物質を飲むと、体にいるマクロファージの活性が低下することがわかったのじゃ。その理由は、抗生物質によって腸内細菌が少なくなったために、共生細菌に由来する糖脂質量も減り、体の自然免疫に充分な情報が与えられなくなったためと考えられておる。

ひげ博士

そこで、糖脂質サプリメントの出番じゃ。やけどを負った動物に抗生物質と一緒に糖脂質を飲むと、腸から糖脂質の情報が伝達され、体の中のマクロファージの活性化が維持され、腸管から侵入する細菌の量を増やさないことが報告されておる*1。抗生物質を飲むときにはうまく糖脂質を摂るのが、賢いということがまたしてもわかったのう*2。

*1: Journal of Biomedical Science, 2010, 17: 48, Doi: 10.1186/1423-0127-17-48
*2:ひげ博士のホットレポートNo.6 (LSIN Newsletter No. 13, 2009年3月)参照

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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