皆さん、こんにちは。ヒゲ博士じゃ。マクロファージは体のさまざまな組織に存在し、異物の処理だけでなく、組織の健康維持、修復、再生にも大切な役割を果たしておる。これまでにも紹介してきたように、同じマクロファージでも、存在する場所によって働きが異なるのが大きな特徴じゃ。今回紹介するのは、2026年に『Cell Reports』に掲載された、子宮内膜のCD169陽性マクロファージに関する論文じゃ*。研究では、この細胞が妊娠初期の子宮内膜で、制御性T細胞(Treg細胞)を集め、着床を支える重要な役割を持つことが示されたのじゃ。CD169陽性マクロファージは、これまでリンパ節などでも知られ、免疫応答に関わる細胞として注目されてきたが、子宮内膜でも大切な働きをしていることが分かってきたのう。
胎児は母体にとって、自分とまったく同じではない存在じゃ。そのため妊娠を維持するには、母体の免疫が過剰に反応しないよう、子宮内で適切な免疫のバランスを保つことが重要となる。この論文では、マウスの子宮内膜でCD169陽性マクロファージがCCL8という物質を増やし、Treg細胞を呼び寄せること、さらにこの細胞を除去するとTreg細胞の集積が大きく減り、着床数も著しく低下することが示されたのじゃ。
つまり、子宮内膜ではCD169陽性マクロファージとTreg細胞が協力して炎症を抑え、妊娠成立を支える環境を整えていると考えられる。着床不全や反復流産の仕組みを理解する手がかりとしても興味深く、今後の研究の進展が期待されるのう。
*: Identification of endometrial CD169+ macrophages essential for Treg cell accumulation and implantation. Cell Reports. 2026. DOI: 10.1016/j.celrep.2026.117040
出典:特定非営利活動法人自然免疫ネットワーク発行ニュースレター
